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      C&S ニュースレター No.47
      • Date2023/09/27 19:04
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      • 「製造方法が記載された物の発明」の権利範囲に属するか否かを判断する方法
      • 「不正競争防止及び営業秘密保護等に関する法律」改正に関する内容解説
      • 下半期から特許審判が変わる
      • 韓国企業、海外特許申請の増加を通じて輸出の突破口を求める
      • 米・日への進出企業、特許審査ハイウェイ(PPH)により早ければ3ヶ月以内に特許取得
      • C&Sニュース

      • 「製造方法が記載された物の発明」の権利範囲に属するか否かを判断する方法 _弁理士 キム・ナンギ

      [大法院2021.01.28.宣告2020フ11059判決 ]
      1. 概要

      『製造方法が記載された物の発明(Product by Process Claim、以下「PbPクレーム」という)』とは、特許請求の範囲が全体的に物として記載されており、且つその製造方法の記載を含んでいる発明である。物の発明に対する対象が多様化し、技術的思想の創作に対する表現手段を多様化する趣旨からPbPクレームの記載が認められる。PbPクレームの認定とは別に、PbPクレームの解釈については様々な議論が行われてきた。

      最近、PbPクレームの権利範囲への解釈に関する判例があり、これを紹介する。


      2. PbPクレームに対する解釈1
      (1) 理論
      PbPクレームに対する解釈として、2つの解釈論がある。
      1) 同一性説(Product identity theory)
      物としての同一性を有する場合、記載された製造方法とは異なる方法で生産された物まで発明の構成に含まれるという見解
      2) 限定説 (Process limitation theory)
      特許請求の範囲の技術的構成は、特許請求の範囲の記載に基づいて解釈されるべきであるという点を挙げ、記載された製造方法により製造された物に発明の技術的構成が限定されるという見解
      (2) 判例
      大法院2015.01.22.宣告2011フ927の全員合議体の判決によって、PbPクレームに対する特許要件の判断時における同一性説の解釈基準を確立した。

      … 製造方法が記載された物の発明の特許要件を判断するにあたり、その技術的構成を製造方法自体に限定して把握するのではなく、製造方法の記載を含め、特許請求の範囲における全ての記載によって特定される構造や性質などを有する物として把握し、出願前に公知された先行技術と比較して新規性、進歩性などの有無を検討すべきである。…

      また、2011フ927判決を引用する後続判決 -大法院2015.02.12宣告2013フ1726判決- において、権利範囲の解釈時にPbPクレームの解釈基準も同一であることを明示した。
      2011フ927判決以降、韓国は、特許要件の判断時と権利範囲の解釈時において真正PbP及び不真正PbPの有無2を考慮せずに、同一性説の立場をとったものと解される。


      3. 大法院2021.01.28.宣告2020フ11059判決
      (1) 事案の概要
      事案は、対象特許に対する消極的権利範囲確認審判に対する上告審であって、本件第1項発明と明細書の記載は次の通りである。

      【請求項1】
      有効成分として粒度の累積分布において、最大粒度に対して90%に該当する粒度(d90)が500μm以下であるポラプレジンクを含むことを特徴とする、直打法3で製造された錠剤(tablet)。
      【明細書関連記載】
      [0007] 本発明の錠剤の有効成分であるポラプレジンクが前記粒度の範囲を有する場合、溶出率、生体利用率などにおいて好ましいだけでなく、驚くべきことに貯蔵安定性、大量生産の容易性などにおいても非常に好ましい効果を奏した。
      [0019] また、本発明に係るポラプレジンク錠剤を構成する成分で直打して錠剤を製造する場合、混合ムラや流動性不良などの問題点が発生せず、約10,000錠(好ましくは50,000錠、さらに好ましくは100,000錠)の錠剤を製造する間、スティッキング(sticking)などの大量生産の問題点は発生しない。
      [0021] 本発明は、保管及び流通中における安定性に優れるだけでなく、大量生産に容易であり、溶出率、生体利用率等が、他の剤型である顆粒剤型と並ぶほど優れたポラプレジンク含有の錠剤剤型を提供する。

      事案の確認対象物品は「d90が30μm未満であるポラプレジンクを主成分とし、湿式法で製造された錠剤」に関するものである。
      (2) 判示の内容
      対象判決は、PbPクレームに対する権利範囲の解釈について、「製造方法が記載された物の発明の権利範囲に属するか否かを判断するにあたり、その技術的構成を製造方法自体に限定して把握するのではなく、製造方法の記載を含め、特許請求の範囲における全ての記載によって特
      定される構造や性質などを有する物として把握し、確認対象発明と対比しなければならない。」と説示し、上記法理に基づいて、本件第1項発明及び確認対象物品は、一定の比率及びサイズを限定したポラプレジンクを有効成分として含んでいることから同一であるが、本件第1項発明は、直接打錠法で製造されることによって特定される構造及び性質を有する錠剤であるのに対し、確認対象物品は、湿式法で製造されることによって特定される構造及び性質などを有する錠剤であるため、文言侵害及び均等侵害が成立しないと判断した。 4


      4. 結び及び参考
      対象判決を通じて、韓国大法院はPbPクレームの特許要件の判断のみならず、権利範囲の解釈においても、同一性説に基づく統一した基準を提示している。すなわち、製造方法により物の構造や性質が特定される物品を基準にして特許要件及び権利範囲を解釈する。したがって、特許出願を準備するとき、PbPクレームを含む場合、物の構造や性質が製造方法により特定されるのかを考慮しなければならない。
      また、PbPクレームに対する海外での判断はそれぞれ異なる。これについて簡単にまとめてみると、次のような差異があるため、海外出願時には各国の事情を考慮する必要がある。以下の表は、主要国のPbPクレームの解釈を要約したものである。5

      区分 特許要件の判断 権利範囲の判断
      EU 同一性説 同一性説
      JP 同一性説 同一性説
      US 同一性説 限定説

      但し、PbPクレームに関連し、物の構造や性質に対する特定という基準に曖昧性があるという点、国際的にそれぞれ異なる基準を提示している点などに関する問題が残っている。


      1 特許法学会の「2021 TOP 10特許判例セミナー」のうち、『「製造方法が記載された物の発明」の権利範囲に属するか否かを判断する方法』に関する討論内容の一部を筆者が要約した。
      2「真正PbPクレーム」とは、構造又は特性により物を直接的に特定することが出願時に不可能又は困難な事情があるため、製造方法により物を特定した請求項を意味し、「不真正PbPクレーム」とは、かかる事情がないにもかかわらず、製造方法の記載により物を特定した請求項を意味する。
      3 錠剤を作製する方法には、直打法(直接打錠法)、湿式法(湿式顆粒法)などがある。直打法は、粉末を直接圧縮して打錠する方法であるのに対し、湿式法は、まず顆粒を作製した後に賦形剤と混合して打錠する方法である。
      4 特に、本件特許の特許権者は、審査過程中に拒絶理由を克服するための補正書及び意見書を提出した。上記意見書にて、本件特許発明は、直接打錠する方式で錠剤を製造する場合の技術的特徴を主張した事実がある。
      5  特許法学会の「2021 TOP 10特許判例セミナー」のうち、『「製造方法が記載された物の発明」の権利範囲に属するか否かを判断する方法』に関する討論内容の一部を筆者が要約した。

       


      • 「不正競争防止及び営業秘密保護等に関する法律」改正に関する内容解説 _弁護士/弁理士 イ・ジョンウォン

      改正された「不正競争防止及び営業秘密保護等に関する法律」(以下、「不正競争防止法」)が2023年3月28日付で公布され、2023年9月29日から施行される予定である。改正法は、他人の商品標識などの不正使用の例外条項及びアイデア奪取行為に対する禁止請求の時効を新たに規定している。以下では、改正法の主な内容について説明する。


      1. 他人の商品標識等を不正な目的に使用する行為に対する例外規定を新設
      不正競争防止法第2条第1号のイ目及びロ目は、国内に広く認識されている他人の商品・営業標識と同一又は類似のものを使用することにより、他人の商品・営業と混同させる行為を不正競争行為と規定している。

      ところが、他人の商品・営業標識が広く認識される前から、既に同一又は類似の標識を善意で使用していた使用者の標識使用行為までも、不正競争行為に包摂されることができるのかについての論難があった。これについて大法院は、不正競争防止法においてかかる事情を例外として規定していない限り、善意の先使用者の使用行為も不正競争行為に該当するという立場を固執してきた(大法院2004.3.25.宣告2002タ9011判決)。
      改正された不正競争防止法は、上記のように、善意の先使用者が想定外の被害を被らないようにするために、商品・営業主体の混同行為に対する例外を新設した。

      具体的な内容を見ると、改正された不正競争防止法は、「他人の商品標識又は営業標識が国内に広く認識される前から、その他人の商品標識又は営業標識と同一であるか、類似している標識を不正な目的なしに継続して使用する場合」及び「このような場合に該当する者の承継人として不正な目的なしに継続して使用する場合」は、商品・営業主体の混同行為に含まれないものと規定している。したがって、例外規定の適用を受ける者は、善意の先使用者及びその承継人であって、かなり広い範囲の例外が認められるようになった。

      一方、改正された不正競争防止法は、上記のような例外の許容により、同一又は類似の標識を使用する複数の主体が存在する場合、一般の消費者が想定外の損害を被る可能性もあるという点を考慮し、誤認・混同防止請求権を新設した。すなわち、国内に広く知られている商品または営業標識の権利者が善意の先使用者に、出所の誤認や混同を防止する上で必要な標識をすることを請求できる条項を新設し、消費者保護の側面も考慮したと評価することができる。

       

      2. アイデア奪取行為に対する禁止請求権の時効を新設
      不正競争防止法第2条第1号のヌ目は、「事業提案、入札、公募などの取引交渉または取引過程において経済的価値を有する他人の技術的または営業上のアイデアが含まれた情報をその提供目的に違反して、自分または第三者の営業上の利益を不正に使用するか、他人に提供して使用させる行為」であるアイデア奪取行為を不正競争行為として規定している。そして、アイデア奪取行為の被害者は、奪取行為者に対して禁止命令及び損害賠償を請求することができる。
      ところが、アイデア奪取行為の救済措置のうち禁止請求権は、別途の時効規定がなく、事実上、時効の制限なしに無限に禁止請求が可能であるように解釈されてきた。これは、民法上の不法行為に対する損害賠償請求権が、損害及び加害者を知った日から3年又は不法行為日から10年の消滅時効の適用を受けることと比べると、公平性の問題があり、法的安定性を害するという論難が続いてきた。
      これにより、改正された不正競争防止法は、アイデア奪取行為に対する禁止請求権を「営業上の利益が侵害または侵害されるおそれがあるという事実及びそのアイデア奪取行為を知った日から3年」又は「そのアイデア奪取行為が始まった日から 10年」が経過した時まで行使しない場合、時効が完成するという内容の規定を新設した。

       

      3. 結び
      改正された不正競争防止法は、他人の商品・営業標識に対する善意の先使用者の継続的な使用行為を不正競争行為から除外することにより、善意の先使用者が想定外の損害を受けることを予防している。一方、善意の先使用者に対する誤認・混同防止請求権を新設することにより、国内で広く知られている商品または営業標識を保有した権利者は、善意の先使用者に対して誤認・混同防止請求権を行使する方法によって、本人の商品・営業標識を保護することができる。このような改正法の内容は、善意の先使用者と商品又は営業標識権利者の権利を調和させる措置と評価される。
      また、アイデア奪取行為に対する禁止請求権の時効が新設されたため、実務ではアイデア奪取行為の被害者が時効の経過により、もはや禁止を求めることができない状況が発生しないように適切な時点で権利行使を行うべきであることに留意する必要がある。

       


      • 下半期から特許審判が変わる

      特許庁は2023年7月1日からの「審判事務取扱規定」など訓令改正案の施行に伴い、「審決日予告制」を導入すると明らかにした。
      従来は、審判事件の審理が終結したことを通知する審理終結通知書に正確な審決日が記載されておらず、審判の当事者は、審理終結通知書を受けた後にも、最大20日まで審決を待たなければならない不便さがあった。このような点を解消すべく、審理終結通知をする際に審決日も併せて案内するように審判手続を改善した。

      ※ (変更前) 審理終結のみを通知→ (変更後) 審理終結通知+審決日通知


      審理→ 審理進行状況を案内(審理成熟後の最終書類提出期限を案内)
      → 審理終結通知(審理終結の事実及び審決予定日を案内)→ 審決

      特許庁は、「特許紛争の迅速・公正な解決のために、国民の目線に合わせて必要な制度の改善事項を引き続き発掘し、解決していく」と述べた。


      原文出所:韓国特許庁報道資料(2023-07-02)


      • 韓国企業、海外特許申請の増加を通じて輸出の突破口を求める

      米中の覇権争いによる世界的不確実性が増加する中、今年上半期の韓国内の特許出願が約10.7万件を記録し、前年同期比4.1%増加したことが分かった。また、新たな市場先取りのための海外特許出願も前年同期比25.5%増加し、危機を機会にするための韓国企業の努力を見せつけた。
      <'23年上半期の韓国内の特許出願は約10.7万件、半導体などの主力産業分野が増加>.
      韓国特許庁は、'23年上半期に受付られた韓国内の特許出願が総10.7万件と、前年同期比4.1%増加した」と明らかにした。

      区分 2019.06 2020.06 2021.06 2022.06 2023.06
      特許(件) 97,279 99,331 106,657 103,437 107,693(▲4.1%)

      技術分野別には、半導体(4,406件、▲16.2%)、デジタル通信情報伝送(3,651件、▲18.9%)、電気機械/エネルギー二次電池製造(5,581件、▲6.1%)など、輸出主力産業を中心に増加し、電子商取引仲介取引(4,689件、▼6.1%)、運送電気自動車制御調整(2,889件、▼7.8%)、有機精密化学化粧品製剤(1,865件、▼7.0%)などの分野は減少した。
      韓国企業が全世界的なサプライチェーンの再編過程を危機ではなく機会として認識し、半導体・通信などの先端産業分野を中心に緻密な特許戦略を樹立した結果と解される。
      <’23年上半期、韓国企業の海外特許出願は前年同期比25.5%増加 >
      韓国企業が米国、中国など海外の主要国に出願した特許件数(優先権証明書の発行を基準)は毎年着実に増加し、2023年上半期には29,271件と前年同期比25.5%増加した。

      区分 2021.06 2022.06 2023.06
      特許(件) 19,313 23,322(▲20.8%) 29,271(▲25.5%)

      韓国の特許出願対象国が既存の米国、中国中心からインド、ベトナムなどの第3国にまで拡大し、韓国の輸出対象国も特許出願と同じ方向に変化していることを示していると分析される。
      特許庁は、海外市場における輸出企業の安定的な活動を積極的に支援するために、海外現地の状況に応じた様々な支援政策を強化する必要があると述べた。 

       

      原文出所:韓国特許庁報道資料(2023-07-16)


      • 米・日への進出企業、特許審査ハイウェイ(PPH)により早ければ3ヶ月以内に特許取得

      特許庁は、今年8月1日から米国・日本との協力の下、特許審査ハイウェイ(PPH)による出願時に、各審査段階での処理期間を平均3ヶ月に設定する「特許審査ハイウェイ(PPH)改善政策」を施行すると明らかにした。

      従来は、特許審査ハイウェイ(PPH)により優先審査をする場合、最初の審査通知の発送を4ヶ月以内にして管理していたが、この期間を3ヶ月以内に早めて管理することにした。また、出願人が回答書を提出した後、次の審査通知をする期間も3ヶ月以内に管理するよう規定を整備した。今後、韓・米・日に特許審査ハイウェイ(PPH)を申請した出願人は、早ければ優先審査決定後3ヶ月以内に特許登録も可能になるものと期待される。
      特許審査ハイウェイ(PPH)出願の審査時期に対する予測性を高めるために、先進5カ国の特許庁(IP5)間での議論が行われてきており、昨年、米日は「特許審査ハイウェイ(PPH)改善政策」を施行して各審査段階での処理期間を3ヶ月以内に設定した。韓国特許庁も去る6月、韓・米知的財産権分野の深化協力業務協定(MOU)をきっかけにこの政策への積極的な参加を決定し、相互主義に基づいてこれと同等のサービスが提供される見込みである。

      特許庁は、「今回の改善政策に対して韓国に進入する海外企業に、特許登録まで予想される期間を正確に提供することで信頼を与えると共に、米国及び日本に出願する韓国企業に対してもそのまま適用できるものと予想される」と明らかにした。

       

      原文出所:韓国特許庁報道資料(2023-07-30)


      C&Sニュース

      • アン・ソンスパートナー弁理士、米国弁護士資格を取得

      特許法人C&Sのアン・ソンスパートナー弁理士が海外派遣を通じて米国イリノイ州の弁護士資格を取得後、業務に復帰しました。アン・ソンス弁理士は、ソウル大学で学部卒業後、米国サザンカリフォルニア大学で法学を専攻しました。現在は、特許法人C&Sで機械分野に対する卓越した専門性と豊富な経験をもとに、様々な事件において国内外の企業顧客の代理業務を行っています。

      • 弁理士増員のお知らせ

      特許法人C&Sでは、電子及び機械分野の弁理士を新たに迎え、業務力量をさらに強化致しました。今後も有能な人材確保に積極的に取り組み、これまで以上に上質なサービスをご提供できますよう努力致します。

      氏名 部署 経歴
      ヤン・ミ 電子1部 第40回弁理士
      延世大学 化学工学/電気電子工学科卒業
      YOUME特許法人勤務
      法務法人(有)世宗勤務 
      ソンヨン-ハンミル特許事務所勤務
      PAX特許事務所勤務
      グォン・ヒョンジュン 機電融合部 第54回弁理士
      高麗大学 機械工学科卒業
      Lee International特許法律事務所勤務
      LEE&MOCK特許法人勤務
      特許法人JIDAM勤務
      キム・ヨンジ 電子1部 第55回弁理士
      仁荷大学 新素材工学科卒業
      LEE&KWON法律特許事務所勤務
      法務法人(有)世宗勤務